物語とワークショップ

ピッピのくつした/まちだ演劇プロジェクト

上野です。

実は今、わけあって上野駅徒歩2分のビジネスホテルに2泊目です。去年の同じ時期にも泊まっており、また今年もです。今年限りと決めていますので、思い残すことのないように…。

昨夜は町田康「告白」のラストを読みました。ラスト直前でストップしていたのは、どうもこれは怪しいな…と、過激な小説なのではないか…と警戒していたからです。

予想通りでした。二転三転、ラストはぶっちぎられて、しばし呆然。明治時代に実際にあったあまりに凄惨な河内十人斬りを題材にしているのですが、この主犯である熊太郎に憑依した語りがすごすぎるのです。

f:id:machienpro13:20170305221000j:plain

さて、今夜は上野公園の噴水に。噴水の向こうに見えるのは博物館ですね。ライトアップしていて、昼間よりも派手でとてもきれいでした。

f:id:machienpro13:20170306194500j:plain

このあたりは物心がつくかつかないかの頃によく両親に連れられて散歩していた場所なのですが、その時代とつながっていくような不思議な感覚。

ミス・ペレグリンと奇妙なこどもたち

50を過ぎて様々な体の不調を感じることが多いのですが、少しは良いこともあって、映画が夫婦で安く観られるのですよね。よく利用させてもらっています。日曜には「チャーリーとチョコレート工場」や「アリス・イン・ワンダーランド」のティム・バートン監督の新作を観に。

ミス・ペレグリンと奇妙なこどもたち」という映画です。夫に誘われるエンターテイメントはなぜか外れることが多いので警戒していたのですが、最初からぐいぐい引き込まれてしまいました。物語のツボを押さえているんでしょうかね。まさにエンターテイメント、すごく楽しかった。

主人公は、おじいちゃんに可愛がられたせいか、あまり現代的なスピードに馴染めないどん臭いジェイク(…と言っても、イケメンでとても可愛いんですけどね)。両親とも波長が合いません。でも、孤児院で育った独特な雰囲気を持つおじいちゃんに仕込まれ、内面はきちんと成長しているらしい。

このおじいちゃん、計算するとかなり高齢と思われます。第二次大戦中、児童施設から戦争に行っています。古いモノクロ写真も持っているのですが、その孤児院時代のおどろおどろしい昔話を語るのは、認知症のせいだと思われています。

しかし、1943年にドイツ軍に爆撃されてしまったその孤児院は実在していました。おじいちゃんの話では、それぞれの異能を持つ個性豊かな子どもたちが暮らしていた、と。体が空気のように軽い女の子、予知夢を見る子、透明人間の子、ハチを体の中で飼う子、常に仮面をかぶっている双子、幼き日の食わず女房、植物をあっという間に成長させる力を持つ子…等々。

なんだか、昔話でおなじみのような異能ですよね。それも日本の昔話にも出てくる郷愁をかきたてられるような子どもたちなのです。いや、この映画自体が、その古いお話に入っていく懐かしい感じを思い出させてくれるみたいでした。

原作はランサム・リグズのベストセラー「ハヤブサが守る家」です。読んでみようかなと思っています。

先日の読書会は絵本「島ひきおに」と「静かな生活」のことも思い出しました。一緒に遊びたいだけなのに村人に怖がられ、海の中を自分の島をききずっていく鬼。それから、妹マーちゃんの結婚の障害になる、知的障害で作曲家のイーヨー。どちらも異能を持つ人とどうつき合っていくかという物語だったと気づかされました。

異能を敵に回す方向に進むと世界は少しずつしぼんでいくような気がします。仲間として助け合っていければ、窮地も救ってもらえるかもしれないのに。

考えてみたら、図書館まつりの読書会やワークショップもこのテーマですね。3月25日、26日になります。また詳しくお知らせしますね。 

微妙な年齢

先日の読書会は面白かったので報告を書こうと思っていますが時間がなく、あとでゆっくり書きますので…。

この土日は国立大学の試験ですね。我が家にもひとり受験生がいるので、早起きしたり途中まで送って行ったりあくせくしつつ、その足で法事か何かのために地方から出てきた学生時代の友人と会いました。

場所は渋谷です。「お互い全然変わんないな」と言われると、まあ変わっていないとも言えますが、お互い歳はとりました。

f:id:machienpro13:20170225133200j:plain

「せっかく東京に出てきたからハイカラなもん食うか」とのたまう友人は県立高校の国語の先生です。いきなり食べるその様子に、昔の無茶苦茶さがそのままとも思えますが、若い人たちと接するときの自信みたいなものも積み重なっているんですよね。あれこれ最近の教育事情について話をしました。

そういう歳なんだなぁ、というか微妙な年齢ですね。これから取り組みたいこと(仕事)って何だろう、という話にもなり…。私も私で慣れないものを飲みました。

f:id:machienpro13:20170225133400j:plain

つい予定を詰め込んでしまい、新宿御苑にも寄って、別の友人たちと梅の花を見ながらピクニックまでしてしまいました。

手前にもカップル、遠くにも白いドレスとタキシードのカップルが見えます。結婚式でしょうか。ああいう時代もありました。ほんのちょっと前のことと思えるんですけどねぇ…。

f:id:machienpro13:20170225110300j:plain

3つの読書会のお知らせ

今回はちょっと早めの連絡です(^o^)/

今週、2月24日 (金)に読書会があります。初めての参加、大歓迎です。参加費が千円かかりますが、これは年会費ですのでその後は参加費はかかりません。

場所は、町田市民フォーラム3階の多目的実習室です。

プログラムは2つです。両方参加しても、片方だけでもOKです。

① 10時~12時〈子どもの本の読書会〉

 節分もありましたので、テーマは絵本『島ひきおに』山下明生です。写真がありませんが、これは絵も言葉もなかなか深い本です。

② 13時半~15時半〈ささやかだけれど役にたつ読書会〉

 以前「死者の奢り」をいきなり読んで大変なことになりましたが、リベンジということで、参加者に身近な作品「静かな生活」大江健三郎(単行本の最初の表題作)をとりあげます。お楽しみに。

f:id:machienpro13:20170220084400j:plain

前回の〈流動的読書会〉の報告もしていませんでしたね。高橋源一郎「文章教室1」はかなりポップな文体ながら、短歌の歴史的変遷に表現とはどういうことなのかを絡めつつ異世代交流をしながらも若者にメッセージを送るという複雑な作品でした。

どうなることかと思いましたが、話は若者言葉についてなど意外に広がり、かつ表現したい思いなどについてなど深まり、結構な距離まで進めたのではないかと思います。何作も読んできたせいか、参加者の若者たちが偏った方向に走ることなく、地に足つけてきっちり読んでくれて良かったです。

来月の〈流動的読書会〉のお知らせもしておきます。

3月17日 (金) 18時から19時半くらい。場所は町田市文学館ことばらんとのエントランス奥のテーブルです。井上光晴「兎、うさぎ」を読んでみようと思います。

f:id:machienpro13:20170211142800j:plain

それから、大変残念ですが文学館のご都合により〈流動的読書会〉は3月が最終回となります。文学館に若者を呼ぶために完全にボランティアで始めたのですが、そのお役に立てたのかどうか…? お菓子など出していただき、ありがとうございました。

私としては、1年間若者たちと読書会をやってきて彼らの思考スピードがいかに速いかということを実感しました。高校生から20歳前後という年齢は、能力が急成長する時期なのですねぇ。大人との読書会とはまったく違うことに驚きました。思考速度にきちんとした言葉遣いがついていけていないだけで、スイッチが入るとあっという間に走って行ってしまう。先日の話では、若者だけのときは、若者言葉、近しい友だちの間ではもっと言葉が細分化されるそうで、なるほどと思いました。

作品選択、舵取りともに、大変に神経を遣いましたが、作品を読みこなせるようになっていくのが目に見えてわかるのはとても嬉しいし、気持ちの良いことです。

幸い、大学進学、就活、とこの春転機の参加者が多く、節目としてはちょうどよいかとも思います。高校演劇部の方々も、読書会経験を演劇創作に生かしていただけると嬉しいです。

夏休みなどに〈ピッピのくつした〉で若者向け読書会も企画しますので、そのときにまたお誘いいたします。

明日、流動的読書会で~す。

明日、午後6時から町田市文学館〈ことばらんど〉で流動的読書会があります。高校生、大学生など若者向けですが、受験でおやすみの人もいると思いますので、受験に関係ないメンバーでまったり話し合いたいと思います。違う世代のかたも良かったらご参加ください。

高橋源一郎氏の連作短編集『動物記』の中の一篇を選んで朗読します。

f:id:machienpro13:20170118115900j:plain

 

昨年暮れに中沢新一氏が指南役をしていたNHK Eテレ「100分de名著」、レヴィ=ストロース『野生の思考』を見て、この本を読んでみようと手にとったのですが、なかなか歯が立たず、中断しては読み、中断しては読み…とやっています。

f:id:machienpro13:20170123123200j:plain

なんでそんなに苦労しているかというと、うーん…どうも気になるんです。知りたいことが書いてあるんじゃないかと。

で、もう少し知りたい部分をわかりやすく書いてあるものはないものかと、こんな本も読んでみました。

f:id:machienpro13:20170207113100j:plain

「レヴィ₌ストロースとの対話」ジョルジュ・シャルボニエ著 多田智満子訳 みすず書房(1970)です。美術評論家の著者がメディアで放送したレヴィ・ストロースとの対話をまとめた本だと思います。

美術、音楽、詩について、自然について、言葉について。その中でも、言葉の重要性がよくわかりました。

分量が少なく、著者がもう少し一般にわかるようにうまく質問してくれているので、これは楽しめました。…いや、読むのにはやはりだいぶかかりましたけども。

L₌S ――仮に私たちが未知の惑星で道具を作る生物に出逢ったとして、それだからといって彼等が人類に属するかどうか確信はもてますまい。実際、そういう生物にこの地球上で出逢うことがあります。というのは或る動物は或る程度まで道具または道具の粗描というべきものを造ることができるのですからね。しかしながら私たちは彼等が自然から文化への移行をなしとげたとは信じていません。だが、仮に、一つの言語を有する生物に突然出逢ったと想像してごらんなさい。その言語が我々のとはまるっきり異なっているが、我々の言語に翻訳可能で、従って、我々と意志の疎通の出来る生物を……

G・C ――記号によるにせよ単語によるにせよ……どんなものにせよ、とにかく言語でありさえすれば……

L₌S ――我々の思いつきうるどんな言語にせよ、とにかく言語であればよいのです。

写真あれこれ(男女平等フェスと小山田南小ワークショップ)

写真をいただいたので少しアップします。

ブログには書きませんでしたが、今月初めに町田市の男女平フェスティバルがあり、ピッピのくつしたでも、ワークショップや読書会の記事、過去の冊子なども展示しました。

f:id:machienpro13:20170204153212j:plain

せっかく行ったので、メンバーばらけてあちこちの講演会等にも参加してきました。私はゲイの議員さんの話を聞き、色々考えさせられました。そこでチラシをいただいた国立のLGBTシンポジウムというのにも、実は行ってきました。余裕があったら、後ほど書きます。 

それから、小山田南小の放課後事業「ぽぽんた」に呼んでいただいたときの写真も少し。

これは、ラストの「はらぺこあおむし」をやっているところです。子どもたちは完全にあおむしになりきっていますね。

f:id:machienpro13:20170208143408j:plain

おかあさんたちは、このときは果物だったと思いますが、そのうちに子どもたちになめられたりしたかたもいたのではないかと思います。

f:id:machienpro13:20170208143319j:plain

トンネルをくぐるというのが、絵本の中であおむしが果物に穴をあけるのと重なります。

f:id:machienpro13:20170208143144j:plain

一緒に入ってみると、頭で想像しているよりもはるかに食べるということが実感できるんです。私は子どもの頃とあまり変わっていないので、はっきり味も感じられます。

f:id:machienpro13:20170208140823j:plain

子どもの遊びって、だから大事なのでしょうね。