高校演劇地区大会「朝が来て夜が来ること、夜が明けて日が昇ること」
今年も、多摩南地区の大会が桜美林大学プルヌスホールで開催されています。実は身内が出ているということもあるのですが、それ以前に高校演劇はその年その年の傾向があって大変勉強になるので以前から足を運んでいます。
今日はその初日。出演校も増えているようですし、今年はどの作品にも独自の見どころがあって、レベルが高くて驚きました。……もしかしたら、若い方々は物語が大事ということに気がつきつつあるのでしょうか? だとしたら嬉しいな。
特に、最後に上演された桐朋女子「朝が来て夜が来ること、夜が明けて日が昇ること」には心打たれました。西暦2100年、感情を持つようになったAIが自分は何者か、人間とは何者かについて考えていく内容。過去の記憶を持たないAIの視点で若い人たちの世界を見ていくという設定も自然でとても良かった。
最近は人工知能が小説を書くなんていうこともできるという話(まあ、完全オリジナルではないようですが)もあり、ちょうど気になっていたテーマではありました。自分たちの生活領域を脅かすAIというものに人間は反感を持つものらしいのですが、そのあたりがAIの視点で語られることで見えてくるものがあります。それって、物語の基本的な手法だなあと。
若い方々から学ぶことは多いですね。明日も行ってみようと思います。
音声ガイド
これは、絵本読みや小説のの朗読にも同じことが言え、常々ひっかかっています。小説の場合は、読み手が内容をきっちり理解していないと聞き手に伝わらないのですよね。それだけでなく、情景を思い浮かべて語ると、なぜかそれが伝わってしまうのが不思議です。
受講者からの意見にも、平板な読み方が推奨される絵本読みとの比較の話があって、考えさせられました。作りすぎるのもダメですが、平板な読みも好ましくないですね。そのへんの理解はなかなか得られないですが。
夏休み企画/演劇ワークショップと読書会
連絡遅くなりました。
もう皆さん、HPや「ピッピのくつした」で確認されているでしょうか。
明日の午前中(10時~12時)は「物語の中に入っちゃおう」シリーズの子ども向け演劇ワークショップを行います。今回はちょっとだけ怖い昔話をとりあげようかと。
ゆっくりウォーミングアップから始めますので、初めてのかた、子どもじゃなく大人のかたもお気軽に参加してくださいね。
午後(13時半~15時半)は、小島信夫の短編「馬」の読書会をします。斬新な小説ですのでみなさんがどんな解釈をされるのか楽しみです。
場所は町田市民フォーラム3階多目的室です。よろしくお願いします。
キノコと時間
このじめじめした天気のせいでしょうか。昨日の夕方みつけたキノコのたまご。
半日たって、今朝はこんなふうに成長していました。
それから、粘土みたいにくっついたキノコも発見。
これはいったいどうなっているのでしょう?と思っていたら、同じ場所を3日前に撮った写真を見せてくれた人がいました。
更に、一週間前に撮った写真も見せてもらいました。
ええっ、これだったんですね…。
キノコにとっての短い時間ですが、やはり時間の経過には物語を感じてしまいます。
今、アンソニー・ドーアの『メモリー・ウォール』を読んでいます。単行本の扉にルイス・ブニュエルの言葉が引用されていて、なるほどと思いました。
を失いはじめる必要がある。記憶のない生は、まったく生とはいえない。それ
は、表現の可能性を持たない知性が真に知性とはいえないのと同じだ。記憶は、
われわれの一貫性を保つものであり、理性であり、感情であり、さらには行動
でさえある。記憶がなければ、われわれは何者でもない。
キノコ
今日は湿度が高いなぁと思いつついつもより暗い森を歩いていたら、いつのまにやらキノコがいっぱい。
それも、みんな結構大きくなっています。
キノコって、妙に目立つというか、うっすら発光しているような気がしますね。
これ、可食のキタマゴダケに似た毒キノコだと思います。傘をめいっぱい広げている。もっと広がっていくと、こんな感じになりますね。
そこで、去年、大きなこの種のキノコがあったところに行ってみました。キノコって菌糸が残っているのか、同じところから出てくるんですよね。やっぱりありました。
名前の通り、その前の卵からちらっと出た状態のものもありました。
時間の経過ってこういうことなんですね。
すべての見えない光
みなさん、お元気でお過ごしでしょうか?
暑さも少ししのぎやすくなってきたような気がしますが、夏の疲れもたまってきますよね。
昨夜は近所を歩いていて大きなカブトムシと鉢合わせし、ちょっとだけ遊んでもらいました。少々ご立腹のようでしたが、お礼に砂糖水をあげたら喜んでもらえたみたい。
今日は、このところ少しずつ読んでいたアンソニー・ドーアの長編『すべての見えない光』を読み終えました。あまりにすごかった…!
翻訳なのですが、もともとの文章の匂いみたいなものが伝わってくる。言葉で読んでいるはずなのに、触覚が刺激されて指で情報を読みとっていくような、肌で物語世界の空気が感じられるような。
物語を読み進めるにつれ、情報量が多くなり、読むスピードはゆっくりになっていきました。簡単には読みとらせてもらえなてのです。でも、それが面白い。物語に盲目の少女がからくり箱を開けるシーンが何度もあるのですが、ちょうどそんな感覚。
ようやく読み終えて、物語全体の美しさに戦慄を覚えました。やっぱり物語の中に洋ナシ型のダイヤモンドが出てくるのですが、物語全体が色々な要素がうまく結晶化しているように感じられました。
物語はおもに第二次大戦中のドイツ兵の少年とフランスの盲目の少女の目を通して世界が描かれていきます。二人だけでなく、その他に様々な登場人物が出てくるわけですが、人間はストーリーのためにコマにしてはいけないという作家の強い意志を感じました。だから美しいのでしょうね……。
読んで、元気をもらえました。将来、ノーベル文学賞をとる作家かもしれませんよ。