物語とワークショップ

ピッピのくつした/まちだ演劇プロジェクト

物語のある世界

 何年も前の話になりますが・・・

我が子に絵本を読み聞かせることにはそれほど熱心ではありませんでしたが、私は自分が面白いものを子どもについ読んでしまうという癖がありました。そういう意味では、絵本に限らず、雑誌のコラム、何かのパッケージの注意書きでも、面白いと思うと読み聞かせました。私が笑いを堪えて読み始めるので、子どもは「何、何?」と聞きたがります。そのかわり、つまらないとブーイング。

 自分の興味もあって、つい上の子どもが理解できるくらいのものばかり読んでいたので、下の子どもはまだ2歳になるかならないかでしたが、黙って聞いていました。なんだかわからないけど、面白いんだろうという顔をしていたんです。でも、あるとき、『でてきたよ』(佐々木マキという幼児絵本を読んであげたら、衝撃を受けたように激しく反応しました。コップからカバが出て、カバからカバンが出て、カバンからタコ…と次々に色々なものが出てくる絵本。そして、最後はちゃんとオチがある。

たぶん、突然、物語に気がついたのだと思います。つまり、ひとつひとつのページにばらばらの知識が入っているのではなく、すべてが関係性を持ったかたまりだと理解したのではないかと思います。その後、私が何か読み聞かせると、集中して聞こうと努力するようになりました。

世界を物語で理解することってすごく大事なことなんだなぁ、と実感した忘れられない出来事です。