物語とワークショップ

ピッピのくつした/まちだ演劇プロジェクト

1.原風景(げんふうけい)をみつける

 原風景とは何か、手元の新明解国語辞典を引いてみました

「(様変わりした現実の風景に対して)本来そうであっただろう(あってほしい)とイメージする風景」

 ということは、現実の記憶とは限らず、本来そうであるはずの、またはそうあってほしいと望む風景であるようです。皆さんにも、落ち着くなぁと感じる風景、なぜか憧れる風景はあるのではないでしょうか。私も学生時代に太古の祖先が通ったのかもしれないと思いながらアジアを旅したことがあります。あれは、ある意味、原風景を探していたのかも。

 そんなことを思って、昨年、次のような「原風景をみつける」という二回連続のワークショップを企画してみたんです。

【一回目】…原風景とは何かそれぞれの思いを言葉にしてみる。グループで支え合いながら、その原風景を演劇シーンにし、イラストと簡単なメモで記録する。

【二回目】…メモをもとに、もっとも表現したいことにしぼってシーンをつくり直し、更に好ましい方向に発展させる。

 参加して下さったのはこれから表現活動を始めるグループの方々。年齢や育った地域によって解釈もイメージもずいぶん違っていました。もちろん、田園風景や遠くに山が見える一般的な風景もありましたが、生活音や生きものの鳴き声、具体的な周囲の人々との会話、抽象的なイメージなど色々なものがあって面白いなぁと思いました。

 私自身、都会のゴミゴミした地区で生まれ育ったので、記憶もなかなか殺伐としています。そんな雰囲気が少しわかる写真を見つけてみました、木造の家々が立ち並ぶ真ん中にあるのは沼です。粗大ゴミがスープの具のようにごろんごろんと浮いています…。

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でも、当たり前ですが、風景に優劣などありません。自分独自の風景を探して、その風景を自分の味方にしてしまえばいいだけです。そして、命綱をここにきっちり結びつけておく。そうすれば、自由に、安全に、表現をすることが可能になるのではないか、と思うのです。

 表現活動を始めるにあたって、まず自分の原風景を考えてみるのはひとつの方法ではないか…と。