物語とワークショップ

ピッピのくつした/まちだ演劇プロジェクト

童話の挿し絵 と フランク・オコナー

 義母に、同人誌に童話を書いたので挿し絵をお願い、と言われて、挿し絵を描きました。童話のタイトルは「太陽灯の先生」です。戦争中の東京浅草あたりを舞台にした物語です。

童話と言っても、そんなに楽しい話ではなくて、挿し絵もちょっとおどろおどろしくてこんなですが、大丈夫かな…。

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この物語には、1945年3月10日の東京大空襲の様子も少し描かれています。(…3・11と1日違いなんですよねぇ。)

先日読んだ『東京プリズン』のディベートシーンを思い出しました。最後の山場、主人公マリの言葉。

東京大空襲は、関東大震災の延焼パターンを研究して、どこをどう燃やすと効率的に東京を焼き払えるかを知って、それを実行したのです」

私の身内はどちらも経験していて、かなりまずい場所にいたんです。直系の身内は震災も空襲も生きのびていますので、今、ここに私がいるわけですが。

もう祖母が亡くなっているので詳しく聞けないですけれど、震災の延焼パターンの記憶を祖母が持っていたことが、空襲で逃げるときに重要だったことは私も知っています。なにしろ、祖父とはぐれ、就学前の子ども2人の手をつなぎ、背中には乳飲み子をおぶっていたはずなので運だけでは生きのびられなかったかもしれません。

自分が経験したことではないけれど、このふたつのことは私の中では大きなことだなぁと気づきます。

 

自分が経験していない上の世代の記憶というの、話に聞いたということだけでなく、何か残っているような気がするんですよね…。

 

ところで、今日読んでいたのはフランク・オコナーの『アンメラへの道』という短編集です。

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1903年アイルランド生まれのオコナーは短篇作家。学校教育は12歳までしか受けていないと作家紹介に書いてあります。

たとえば「歴史のお勉強」という物語では、少年は両親が結婚前につきあっていたという人の話を聞いて、自分がそこのうちの子だったらどうだろうと想像する。お金持ちのお坊ちゃまだったら、とか。そういう自分を貧しい子どもが見ているのを想像して悲しくなってしまったり…(…ああ、そういうことって身に覚えがあるなぁなんて思って。)

ただ、少年は父親が過去につきあっていた女性を本当に訪ねてしまう。(…ああ、それはやらないうなぁ。でも、この男の子はやるんですよね。一歩、踏み込むんです。男の子だから? アイルランド人だから? オコナーが創造した人物だから?)

色々なお話があるけれど、前半部は小さな男の子の視点で、大好きなお母さんと、お母さんをとりあうライバルでもあるお父さんのことが描かれています。深いところもありますが、あたたかで、かわいらしくて、思わず笑ってしまいます。

そういえば、先月紹介したミランダ・ジュライいちばんここに似合う人』はフランク・オコナー国際短篇賞を受賞しています。