物語とワークショップ

ピッピのくつした/まちだ演劇プロジェクト

アレハンドロ・ホドロフスキー『リアリティのダンス』

ミズタマさんに教えてもらった、アレハンドロ・ホドロフスキー監督の『リアリティのダンス』を月見草さんと観てきました。すごく良かったです。

教えてもらった通り渋谷の映画館ではEnjoy Over18ということで無修正でした。変にぼかしを入れたらかえって変な気持ちになるんじゃないかなぁと思えるほどのびのびした気持ちにさせてくれる映画でしたので、EO18はありがたかったです。

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これは、85歳になるという(もっとずっと若く見えますが)ホドロフスキーが自分の少年時代をテーマに撮った映画なのです。

表現の仕方が詩的で、どっちが先がわからないけれど、寺山修司の『田園に死す』が思い浮かびました。話の"筋”じゃなくて本当に体験したことを描いているわけなんです。

それがとても心地よかった。もちろん同じ体験なんてしたことがないし、国も年代も年齢も性別も違うのに、不思議と自分にも同じことがあったような気がしてくるんです。

たとえば、主人公の少年が周囲とは違っていてどうしても浮いてしまう要素というのを持っていて、バカにされたり差別されたりするところ。ああ、私にもそういう要素があったなぁと思い出す。まあ、私の場合は貧乏だったり、虚弱体質だったりだったのですけれど。でも、そういうのって、誰にでもあることなんでしょうね。それが、嫌な記憶ではなくなっていくみたいな感覚がありました。

少年の両親もかなり変な人々なのですが、それも、誰にもあることですね。そんなこと、当たり前だよなぁと思えてくる。そして、大事なことは自分の体験の中にすべて含まれているんだなと気づかせてくれる。いや、思い出させてくれる。

少年時代のホドロフスキーと現在のホドロフスキーが映画に一緒に映っているところはとても良かった。それは、私が歳をとったせいかもしれませんが、そういう世代を越えて接触したい衝動というのは理解できます。

たとえば、若い頃の自分に今の自分が何かを伝えたいという思っているとか、若い頃の自分が今の自分に何か伝えられていたのかもしれないとか。『田園に死す』にもそういうところがあるけれど、あれを観た頃は若かったせいかそういうことは考えませんでしたね。なんて言うか…愛のステージが歳を重ねることで変わるのかもしれません。

とにかく、愛のある映画に感動して泣けてしまいました。

チラシに入っていたホドロフスキー夫妻の共作ドローイング「二人のホドロフスキー 愛の結晶」展も近くで開催されていたので、そちらにも寄ってみました。そこではホドロフスキー監督インタヴューの映像も流れていて面白かったです。ちょっと信じられないほど若くてお元気そうでした。