物語とワークショップ

ピッピのくつした/まちだ演劇プロジェクト

小説『喘息発作』

季刊総合文芸誌「抒情文芸」2015年春号(第154号)に小説を掲載していただきました。やはり掲載してもらうと自分の作品が見えて、勉強になります。本当にありがたいことです。

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小説のタイトルは「喘息発作」です。…うーん、あまりにそのまんまんま。

実は去年の暮れ、今まで体験した中で一番ひどい喘息の発作を起こしまして、そのときの喘息体験を早速書いてしまったわけです。こういう体験をつい書きたくなってしまうのは、体験したことはリアリティがあるからなんでしょうね。

ただ、それはあくまでも背景のようなものであって、中心の内容は自分の体験ではまったくありません。今回も自分とは似ていない人物を設定しているので、主人公が意外な動きをして物語が展開していくところが、書いていて一番面白いところ。

それでついどっぷりつ浸かってしまっているので、選評を読んで、客観的視点を認識することになります。それが、今回、三十五年選者を務められた伊藤圭一先生が最後と知り、寂しく思いました。でも、まさか九十歳を越えられていたなんて…。そんなかたにいつも読んでいただいていたと思うと光栄です。

選評にはこう書いてありました。

「『喘息発作』は、母を介護で看取った五十歳を目前にした独身女性、聡子の揺れ動く心情を描いています。作者は常連ですが、いつも新しい試みをして切り口の違う作品で楽しませてくれます。母の法要の後、下見に訪れたモデルルームを見学して心を癒やされるようなひと時を過ごした夜、喘息の発作をきっかけに、自分の心を縛っていた少女時代のある光景を思い起こし、呪縛を解かれたように心が晴れるという凝ったストーリー仕立てで、爽やかな読後感をもたせます。」

私としては、もう一歩新しい試みをしたいのです。そろそろ次作を書き始めなければいけません。