物語とワークショップ

ピッピのくつした/まちだ演劇プロジェクト

新年の読書

年末年始の休みがほとんどなかった我が家ですが、年明け早々に近所の神社にお参りをし、いつもの習慣で家族みんなでおみくじをひきました。去年一年がどういう年だったか考えることになるし、何よりこれから一年どうやって過ごしていったらいいかのヒントになるような気がするんですよね。

私のおみくじにはなぜか「色を慎め」というコメントが…。この年で色?と首を傾げつつ、思い当たるところがないわけでもありません。小説を書くときに、どうしてもそっち方面にずり落ちていってしまうんですよね。というか、それが書くためのエネルギーですから(笑。

エネルギー源をもっと別のところに見出すべきってことでしょうかね。そうね、今のうちにもっと幅を広げないと…。

元旦、家族で義父の家にも行きました。普段は遠ざけているテレビをはずみで見ることになりました。義弟も含めてみんなが見たいと思ったのが、たまたまオンエアされていた映画『ライフ・オブ・パイ/トラと漂流した227日』。

すでに前半は終わっていたのですが、夫と子ども達は公開時に見たらしく、あらすじは見ながら聞きました(…というアバウトな見方。途中、洗い物もしましたし)。もう一度見たいと思うのですから、面白かったのでしょうね。

うん。実際、後半だけ見ても面白かったです。前半を想像するという面白さもあるんだなぁと言う発見もあり。

物語は、インドで動物園をやっている一家の生き残りである少年パイがトラと一緒に海を漂流するというもの。ただ、もはや中年となり妻子を持ったパイが語る物語は、二種類あるんです。その二つの物語の間の飛躍が興味深い。どっちが本当の物語なのか、見る視点によって違うのかもしれません。現実もそうだなぁってしみじみ思います。

暮れから少しずつ中沢新一文化人類学の本『カイエ・ソバージュ』シリーズを読んでいますが、第一巻「世界最古の神話」を読んでいて考えた神話の成り立ちについてと重なりました。神話は誰かひとりの思いつきではなくて、色々な人の経験や知恵の集積の中で選択されたものなんですよね。…そういう小説を書きたいものです。

今は第五巻「対称性人類学」を読んでいるところです。すごく面白いです。美術系の娘には是非読むようにと勧めました。この本は色々な読み方ができると思うけれど、今の私は表現をする人間の立場で読んでいるような気がします。

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でも、ん十年前の学生の頃にも中沢新一氏の著書にはまった時期がありましたが、あの頃の感覚と、現在の私の感覚とあまり変わっていないというのも、読んでいて感じるんですよね。

そうか、変わっていたのは、出産から子育て時期ということなのかな…。

大学を卒業してすぐの頃、中沢新一氏の著書から知ったカルロス・カスタネダの著書ヤキ・インディアンの呪術師ドン・ファンシリーズにはまった時期もありましたっけ。これもかなり冊数があったと思います。私は宗教とかスピリチュアルには向かない人間だと思っていますが、あの頃は西洋的な考え方に違和感を持っていたのだと思います。

大学を卒業した頃、ちょうどバブルに向かう波がそろそろ始まっていて、それに乗って就職するのが怖かった。自分の活動を地道に続けることができなくなりそうだった。就活することができませんでした。ところが、結局、フリーターでは生活費を稼げなくて。きっちり仕事とプライベートを分けられる技術職に就くのが一番かと考えて、手に職つけるためにしばらく王子の職業専門校に通いました。

帰りに寄るのに、王子の大衆酒場も雰囲気がありました。それと、北区の図書館がとても良かったんです。アジア・アフリカ関連の本が多かった印象。ドン・ファンシリーズはここで読破しましたっけ。

最近、どうもあの時代を思い出します。やっぱり子育てに一段落つきそうだからでしょうかねぇ。