物語とワークショップ

ピッピのくつした/まちだ演劇プロジェクト

「さよなら、ニルヴァーナ」

昨日観た『ロブスター』という映画は、消化するのに時間がかかりましたが、ラストの解釈が観た人にゆだねられているところが、やはり良かったのかなぁと一日たって思います。

先日、娘にすすめられて読んだ窪美澄『さよなら、ニルヴァーナ』もそれに似た読後感でした。ラストをどう解釈するかは、なかなか難しいなぁと。

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この小説は、最初は連作短編かと思ったのですが、そうではなくて、何人かの登場人物の視点で書かれたひとつの作品です。被害者遺族の母親、加害者、加害者に恋する少女、そこに関わっていく女性作家。1995年当時14歳だった少年Aによる神戸の殺人事件に関わる物語です。

対立するいくつかの視点で書かれている意味はよくわかりました。そうじゃないと、本当のところは見えてこないですから。現実の神戸の事件ではなく、架空の事件にしているのも、これは必要だと思いました。『絶歌』が出版される前に出た小説ということにも、意味があると思いました。