物語とワークショップ

ピッピのくつした/まちだ演劇プロジェクト

「きみの膵臓をたべたい」

娘にすすめられて、住野よる『きみの膵臓をたべたい』を読みました。やはりタイトルのインパクトと、読んでみておもいきり純愛小説なのにびっくりしました。

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書き方に特徴があって、語り手の男の子の名前が最後まで出てこないというのが良かった。相手役の彼女とって、その【地味なクラスメイト】くんが【秘密を知ってるクラスメイト】くんになり、【仲のいいクラスメイト】くんになっていく。先生から見ると【大人しい生徒】くんであり、彼女の親友から見ると【親友と不可解な関係のクラスメイト】になったり。

そうか、恋愛小説ではなくて、それ以前の人間関係に必要な他者への愛情小説なのかもしれません。もしかしたら、私たちが若い頃よりも個人的な言葉をしゃべることって難しくなっているのかな。生活はより個人的ま差が大きくなっているわけですから、コミュニケーションは難しくなりますよね。

ラスト40ページは涙波涙、と帯に誰かのひとこと感想が書いてありましたが、私はラスト60ページで少々迷子になりました。あれあれあれ…。ショッキングな内容とも言えるのだけれど、順当に進んだほうがもっとショッキングな内容になったと思われ、だとすると、ショックがやわらげられたラストなのかなと。

そういう意味で、現代が描かれているのかもしれないなぁと思いました。