物語とワークショップ

ピッピのくつした/まちだ演劇プロジェクト

「象を撃つ」面白かった

昨日はジョージ・オーウェル「象を撃つ」の読書会でした。さすが若い人は頭の回転が速くかつ柔軟。なかなか遠くまで行けた感じがしてよい運動をした気分です。

物語は小説として読めますが、たぶんもとはエッセイとして書かれた作品ですので、今から百年近く前のイギリスが統治するビルマで実際にあったことなのでしょう。主人公のイギリス人警察官の若者は様々な裏側の事情を知っていますから、帝国主義にはっきり反感を持ちつつも、感情的には現地の人々に馬鹿にされたくなく支配者にふさわしい行動をとってしまいます。

その他、主人公の矛盾する様々な感情や汚い部分も観察してごまかさずに淡々と描いているところが、ジョージ・オーウェルのまっとうな作家たる由縁。それ以前、あまりに強烈な体験です。二千人の現地人に注目された場所で自分を試されるわけですから。

一方向からだけ読まない読書会では、そのあたりのところを参加者それぞれの立ち位置から語り合い、死角を補い合って読み解いていきます。今回は、なかなかダイナミックで面白かった~。

 それから、「象を撃つ」に描かれているのはジョージ・オーウェルの20歳前後の実体験だと思いますが、晩年に病を押してあの有名なディストピア小説「一九八四年」を書いたひとつのきっかけになっているようにも思えました。

そう考えると、若い頃の体験というのはその人をかたち作るのかもしれないなぁと。若い頃の読書もやはり大事ですね。