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物語とワークショップ

ピッピのくつした/まちだ演劇プロジェクト

異類婚姻譚

本の紹介

雨が続きますね。

9月は雨の多い月、季節の変わり目のせいなのか、喘息になりそうで警戒します。ちょっとしたことに誘発されて発作が出てしまいますのでね。

少し前、友人に山田詠美『蝶々の纏足』をすすめられて再読しました。1987年に出版されてすぐ読んだ記憶がありますが、山田詠美さんのかっこいい雰囲気に先入観をもってしまって、ぴんと来なかったというのが正直なところ。といいつつ、山田詠美さんの小説は、なぜか出版されるたびに義務のように読んでいたのですが、よくわからなかったんです。

今回読んでみて、どうも友人たちはわかっているらしく、わかっていないのは私だけ?と焦りました。いつも一緒にいる仲良しの少女2人組。ただ、内気だけれど癖のありそうな瞳美(ひとみ)が、優等生で色白のえり子に常に従う関係。それでうまくいく関係と言ったらよいのか。この主従関係が、まずよくわからないのです。

私自身、過激に内気な子どもでしたが、こういう関係にはならないように避けてきたように思うんです。というか、なれなかったのか。こういう女子の関係が苦手なので内気だったかな…。

いや、アドラー心理学で縦と横の人間関係の2種類があり、人は普通どちらかを選ぶものだという話でしたが、私は基本的に縦関係を避けてきたということなのか?

いや、こんな話もありました。女子同士が大人としての成熟した関係を持つ前にチャムシップというお互いに同化する関係の段階を踏むのだと。そんな話を聞いたことがありますが、それなのか?

そんなことを考えて混乱しているときに『異類婚姻譚』を読みました。今年の初めに芥川賞を受賞した、本谷有希子さんの、これはかなり芥川賞っぽい小説です。このかたは演劇をやっているということ、読んでいてうなずけました。表紙も強烈です。

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小説の冒頭、主人公の語り手は、自分の顔が旦那の顔とそっくりになっていることに気づきます。ペットが飼い主に似るのと同じで、長年一緒に暮らしている夫婦の顔つきが似てくるという話もあります。でも、そんな生易しいものではなく、物理的に顔が動いてしまうのです。――まるで安倍公房の「デンドロカカリヤ」みたいに。

あの話では、コモンくんの顔が裏返ってしまうのでした。個人の病ではなく人類全体の病に侵されたコモンくんが顔だけでなく前進裏返って植物になってしまったという寓話です。

それにしても、少女同士ではなく夫婦とは。夫婦は向き合わず、未熟な少女たちと同じく横並びなのです。時代はそこまでいっているのか…