物語とワークショップ

ピッピのくつした/まちだ演劇プロジェクト

すべての見えない光

みなさん、お元気でお過ごしでしょうか?

暑さも少ししのぎやすくなってきたような気がしますが、夏の疲れもたまってきますよね。

昨夜は近所を歩いていて大きなカブトムシと鉢合わせし、ちょっとだけ遊んでもらいました。少々ご立腹のようでしたが、お礼に砂糖水をあげたら喜んでもらえたみたい。

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今日は、このところ少しずつ読んでいたアンソニー・ドーアの長編『すべての見えない光』を読み終えました。あまりにすごかった…!

翻訳なのですが、もともとの文章の匂いみたいなものが伝わってくる。言葉で読んでいるはずなのに、触覚が刺激されて指で情報を読みとっていくような、肌で物語世界の空気が感じられるような。

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物語を読み進めるにつれ、情報量が多くなり、読むスピードはゆっくりになっていきました。簡単には読みとらせてもらえなてのです。でも、それが面白い。物語に盲目の少女がからくり箱を開けるシーンが何度もあるのですが、ちょうどそんな感覚。

ようやく読み終えて、物語全体の美しさに戦慄を覚えました。やっぱり物語の中に洋ナシ型のダイヤモンドが出てくるのですが、物語全体が色々な要素がうまく結晶化しているように感じられました。

物語はおもに第二次大戦中のドイツ兵の少年とフランスの盲目の少女の目を通して世界が描かれていきます。二人だけでなく、その他に様々な登場人物が出てくるわけですが、人間はストーリーのためにコマにしてはいけないという作家の強い意志を感じました。だから美しいのでしょうね……。

読んで、元気をもらえました。将来、ノーベル文学賞をとる作家かもしれませんよ。