物語とワークショップ

ピッピのくつした/まちだ演劇プロジェクト

社全協全国集会と高校演劇「ピアノ」「ミルク」

昨日、今日と、今年も社会教育研究全国集会の神奈川集会に参加してきました。

場所は相模女子大です。緑が多くとても気持ちの良いキャンパスでした。でも、もとはこういった場所だったのですね。知りませんでした。

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例年、余裕がなくて公民館分科会にしか参加しないのですが、今回は月曜日の課題別学習会にも参加してきました。「『やまゆり園』殺傷事件から今日の人権問題を考える」というテーマです。

この事件に注目してあれこれ検証するのではなく、この事件を考える上で様々な立場や視点からの考えを知ることができ、発見も多々ありました。単純な解決法というものは狭い視野に立っていることが多く、生理的な恐怖を感じますが、多様な視点には安心を感じるものだと実感しました。

こういった事件に限らず、複雑な物事はきちんと複雑に考えることが大事です。発表をされた全盲のかたが、まず将来のヴィジョンを持って長期的に考えることが大事だとおっしゃっていたのが印象的でした。

 

そうそう、忙しくて書いてませんでしたが、26日は多摩南地区の高校演劇の大会には2日目にも行ってみましたんですよ。つい、夢中になってほぼ全部観てしまいました。

印象に残ったひとつは晃華学園の「ピアノ」です。

第二次大戦中に勤労奉仕をする女学生のお話でしたが、この学校が中高一貫校ですので女学生たちは中学生たちが熱演しており、高校生とは違った年若い人のそういう姿は妙に胸にこたえました。高校生というのは何か一線を越える世代なのでしょうか。

もうひとつは都立町田高校の「ミルク」です。偶然にも私が最近作った詩集と同じタイトルですが、まったく関係ありませんでした…当たり前か。観てみて、このタイトルしかないかと思いました。

一応、宮沢賢治の「銀河鉄道の夜」をベースにした脚本なのですが、全然違う親の離婚と再婚によって悩む兄と妹を描いた物語になっていて、そのギャップが面白い。背景も、銭湯があるような古い商店街のお好み焼き屋さんと望遠鏡でのぞく星座の世界とのマッチングがユニークです。色々な意味で出来る限り幅を広げた表現なのですが、若者らしい独特なバランス感覚で上手にまとめられています。

観ているときには、そういった多くのイメージや場面や色々な立場の人物がバラバラである印象を受けましたが、見終わってみたらそれらが絡み合っている不思議さ。ミルキーウェイ(天の川)に溺れるシーンもありましたが、コロイド粒子が等間隔に混ざり合って牛乳になっているような感じです。たぶん色々な人の意見を取り入れているのでしょう。

そして、それを可能にする斬新な演出が際立っていました。加えて、音楽や美術の面白さ、マイムやストップモーションの確かさ、何よりダンスがめちゃめちゃきれいで見ているだけで気持ちが良かった。それこそ、ひとつの視点でなく、多様な視点で世界が描かれています。

町高演劇部は一昨年の「はなさかさん」を観て感激して以来ファンになってしまいましたが、筋で語るのではなく、それぞれの登場人物を丁寧に描いていく手法が面白いです。代が変ってもそれを受け継いでいるのだなぁと嬉しく思いました。