物語とワークショップ

ピッピのくつした/まちだ演劇プロジェクト

ざらざらしている感じ『東京プリズン』

ミズタマさんのギャラリーウォークとはらっぱ彫刻展に行ってきました。

展示については、ミズタマさんのブログに詳しく紹介されています。(→http://atelier-maan.hatenablog.com/

でも、ちょっとだけ。

これは、はらっぱ彫刻展です。作品としてきれいに隔離されていないで、原っぱに無造作に作品が置かれているのが良かったです。雑草や遊んでいる子どもたちと混ざってざらざらしている感じ。作品との距離が近いんでしょうねぇ。なんて言ったらいいかな……地形を生かした露天風呂に入っているようなリラックスできる感じなんですよね。

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でも、こういうイベントができるまでの色々な条件整備みたいなことって、きっと大変なんだろうなぁと、変なところにも頭がいってしまいまして。何をするのも、みんなの同意を得るのって難しいですからね。

うーん……。

せっかく散歩コースを教えてもらったのですが、あれこれ考えていたら反対方向に歩いていて、結局、コーヒーショップに入りました。……根性無しなんです。

で、このところ持ち歩いていた『東京プリズン』(赤坂真理著)をついに読み終えて、うなってしまいました。

すごい小説だなぁと思いました。

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近年は、未来のことを考えるとホントもやもやしてしまいます。

特に、若い頃にバブルを経験している私としては、自分が育った時代と子どもたちが育つ時代の違いが気になります。そうでなくても、子育てをしていると、自分が育った過程を追体験することになりますし。

納得して前に進むためには過去を振り返る必要があるということは常に思うのですが、なかなかしんどい。でも、これはまさに大きな歴史を足がかりにそれをやっている小説だと思うんです。

1964年東京生まれの作家が同じ年生まれのマリという主人公をアメリカに送って、戦後を考え直し、東京裁判、天皇制についてまで言及していることに驚きました。
この小説、雑誌『文藝』に2010年春から2012年夏まで連載されていたらしく、途中、震災があったんですよね。それで、震災前からあったもやもやを思い出しました。

小説としては、震災を踏まえることでより意味のあるものになっているのだと思います。私たちのグループでも、色々な問題を考えていくと必ず自分と自分の母親との関係に行きつくのですが、この小説でも母と娘も大きなテーマになっています。
私もほとんど赤坂真理さんと同世代の東京生まれなもので、色々な場面で思い当たることがありました。東京大空襲などは頭だけでは納得しきれないところがあるので、小説で体感するというのはよい刺激になりました。

あまりわかりやすくなく、文章がざらざらした感じも良かったです。こういうことって、意外と大事なことなのかも。