物語とワークショップ

ピッピのくつした/まちだ演劇プロジェクト

ジャン・フィリップ・トゥーサン

ベルギー生まれの作家、ジャン・フィリップ・トゥーサン氏の講演会に行ってきました。タイトルは「小説の真実」です。場所は東大本郷キャンパス、訳者の野崎歓先生の通訳でした。

私はトゥーサンの本をデヴュー作の『浴室』から90年前後に出版された最初の3、4冊しか読んでいませんでした。この時期のあと、私の個人的生活が激変して読書が困難になってしまったからなんですけど。

先日、久々に『愛しあう』という日本を舞台にした小説を読んだばかりのところでした。実は、ロシアのスプラッタ系の作家ソローキンの『愛』と平行して読んでいたので、頭が歪みそうでしたが…。(→10/20のブログ)

『愛しあう』は主人公とマリーという女性が東京で別れる物語です。これ、最近出そろった4部作の最初の作品のようです。

講演は「小説の真実」ということで、まず、人物について、それから、場所・空間について、時間について語られました。後半は映像化の話があり、『ZAHIR』という短い映像作品の上映もありました。

マリーとは関係ない馬と飛行機が映っているだけなのですけれど、これが妙に面白かったです。言葉の講演だけでなく、映像があるのというのは理解を助けるし、贅沢ですね。

トゥーサンが写真家でもあるからなのでしょう。ディテールにこだわりがあるそうですが、文学でしか描けない細部と、映像に置き換えられる細部の2種類があるという話が印象的でした。

最近思うのですが、言葉だけで表現するのはもともと無理があるのかも。

それにしても、欧米は文学に対して誠実に考えているなぁと思います。