物語とワークショップ

ピッピのくつした/まちだ演劇プロジェクト

バベルの学校

夫とふたりで渋谷アップリンクに行って『バベルの学校』(ジュリー・ベルトゥチェリ監督)というフランスの学校のドキュメンタリーを観ました。

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私は学校の映画ってあまり好きじゃないんだけれど、これはすごく良かった。子どもたちがとにかく前向きで勇気を持っていること。フランスが教育に誇りを持っているのが伝わってくることも好感持てました。

普通クラスではなくて、移民やら亡命やら様々な事情を持ってフランスに来た子どもたちをフォローするための適応クラスが舞台。言葉どころか文化も習慣も宗教も違う、実に20の国籍を持った24人の生徒たちが、このクラスで勉強しているんです。

移民を受け入れることに寛容なフランスには、フランス語がまだうまくしゃべれない子どもたちのための〈適応クラス〉を設置した学校が840校もあるらしい。この映画に出てくるのは11歳から15歳の子どもたち。日本で言うと中学生くらいを対象にしたクラスなのでしょう。

びっくりしたのは、フランスに来た理由がネオナチに追われているという子がいたり、自分の国で学校に通ったことがない子がいたり(だから母国語の文字は書けない)、返されれば性器切除は免れないという子もいたりということ。アスペルガーの子も、母親が特別視しないできたえてほしいと言う。新しい言葉をマスターして生きていくことは、生やさしいことではありませんからね。

更にびっくりしたのは、教育に宗教を持ち込んではいけないという厳しいフランスのきまりの中で、それぞれの宗教について語らせること、議論することが学校教育に必要だという考え方。

アフリカから来た医師になりたいという少女が、自分が留年させられるのは人種差別だと主張(でも、前期中等教育では20%を越える子どもが普通に留年するらしい)して、教師ととことん議論してチャンスをもらうシーンは強烈でした。少女もすごいけれど、先生もすごい。

開かれた感じがとても清々しかった。私もがんばらなくっちゃと思いました。