物語とワークショップ

ピッピのくつした/まちだ演劇プロジェクト

ウィリアム・トレヴァー

親知らずが虫歯になってしまって、今日は何回目かの歯科に行ってきました。その帰り、友人とミスドで会おうということになって。ミスドと言っても、バージョンアップした成城学園の店はまったく違うメニューです。

前回行ったときはエビとアボカドのタルティーヌ(250円)とかいうものを食べたのですが、今日はドーナツ(1つ200円くらい)とコーヒーは220円にしました。……虫歯だというのに。

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このところ、作家イーユン・リー影響を受けたというがウィリアム・トレヴァーの作品をちょこちょこと読んでいたのですが、今日は電車の中で短編集『聖母の贈り物』を読んでいて、驚愕。ここまでやってしまうのか…と。ふたつめの「壊れた家庭」という作品です。

主人公は、何年か前に夫を亡くし、戦争では息子2人を亡くしたは87歳のおばあさん。自分がもうろくしたことに気づくためには、自分で気づくより早く他人に教えてもらうことになるだろうと予測して、日々人々の態度や言動を注意深く観察しています。

あるとき、キッチンのペンキを無料で塗ってあげましょうという男が現れる。彼の言葉を注意深く聞き、気を遣って感じよく振舞うおばあさん。でも、ここまでひどい目にあうかというくらいひどい目にあうのです。

いや、別に、危害を加えられるわけでもないし、お金を盗られるわけでもないのですが、気が遠くなるほど胸が痛みました。衝撃的な物語でした。……いや、もしかしたら、笑っちゃうべきなのかもしれませんが。

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トレヴァーの短編は他に、村上春樹編訳『バースディ・ストーリーズ』に入っている「ティモシーの誕生日」も読んでみました。タイトル通り老夫婦がひとり息子ティモシーの、まさに誕生日パーティを開催する物語。ところが、息子は現れず、別の男がやってくるのです。物語はかなりとんでもない方向に進んでいきます。

堀江敏幸編『記憶に残っていること』に入っていた「死者とともに」は、冒頭で20年以上連れ添ってきた夫が唐突に亡くなってしまいます。残された妻は翌朝来る予定の葬儀屋を待っているのですが、別の人がやってくるのですやはり予想外の展開。

どちらも陰鬱な物語とも言えますが、半分ジョークとして笑い飛ばしたほうがいいのかなという気がしてきます。というか笑い飛ばしてしまえるところがすごいのかもしれません。ウィリアム・トレヴァーも侮れない作家ですね。