物語とワークショップ

ピッピのくつした/まちだ演劇プロジェクト

ラプンツェル、カーヴァー、不可思議/wonderboy

昨日は読書会が3つありました。お疲れさまでした。

ひとつめは、グリム童話の「ラプンツェル」です。ラプンツェルってレタスのことらしいです。色々なバージョンがあるようですが、もともとの古い昔話はこんな感じのようです。

痩せ細った妻が隣に住む魔女の庭のレタスを食べたいと言うので、夫がこっそりとりに行きます。魔女に見つかるのですが、一度は見逃してやるけれど、次にとりに来たら赤ン坊をもらうと言われます。たぶん、妻はつわりでどうしても食べたくなっちゃっているのでしょう、二度目に夫が庭に入るとやはり見つかり、赤ン坊をとられてしまいます。

魔女に赤ン坊をとられると言っても、読んでいてなんとなく感じるのは、妻と魔女が同一人物のことを言っているのではないかということ。子どもを産むと、別人格になってしまうというのは、自分の出産経験を思うとよくわかります。

ラプンツェルと名付けられた赤ン坊は、魔女(もしかしたら、本当のお母さんのことかも)に育てられて成長し、十二歳になって塔に閉じ込められます。塔には窓がひとつだけ開いていて、魔女が呼ぶとラプンツェルが長い髪をたし、魔女はのぼっていきます。

年頃になった娘を、地下ではなく高い塔に閉じ込めるというのは、隠すというだけでなく、逆に人に見せるという意味もあるのではないかと感じられました。塔が、大人になるためのサナギの意味もあるのではないかという見方をしたかたもいました。

塔はやはり目につくものです。あるとき、魔女が上っていくのを見ていた王子様が、真似をしてラプンツェルを呼び、たらされた髪をのぼっていきます。そして、若い二人は愛し合ってしまうのです。

この後、ラプンツェルが「どうして洋服が体に合わなくなったのかしら」と言い、魔女が妊娠に気がつき、激怒してラプンツェルの髪を切ってしまいます。それだけでなく、塔の外に追い出してしまいます。それを知らずに、魔女にたらされた髪をのぼってきた王子様を、魔女は下に落としてしまいます。

落ちた拍子に、茨で目を突き刺してしまった王子様は、両目とも見えなくなってしまいます。王子様も大変な試練です。

一方、ラプンツェルは双子を産み落とし、王子様は何年かさ迷ったのちに母となったラプンツェルと再会。彼女の涙が目に入ると、不思議や不思議と目が見えるようになり、そのあと一緒に幸せに暮らしましたとさ。

魔女は髪を落としてしまったので塔から出られず、大きな鳥につかまって、ヒナの食べ物になってしまたという後日談が書かれたものもあるようです。

これは、一般的な母と娘の物語なのではないか、と自身の体験から感じられる参加者が多くいました。そういうことなのですかね。

 

二つ目は、ささやかだけれど役に立つ読書会。レイモンド・カーヴァーの「でぶ」をテーマに話し合いました。難解かやっている作品ですが、毎回新しい発見があるので新鮮です。

 

三つめは、若者メインの流動的読書会。不可思議/wonderboyのCDから「Pellicule」と「銀河鉄道の夜」を聞いて、みんなで話をしました。今回は男の子が多く、中学二年生で参加してくれたかたがいました。作品の解釈というよりも、人に伝える表現についての話がメインになりました。

この内容は、次号読書案内『ピッピのくつした』に載せることにしましたので、楽しみにしていてください。