物語とワークショップ

ピッピのくつした/まちだ演劇プロジェクト

「青い鳥」と「サマードレスの女たち」

昨日の読書会は、前半はメーテルリンクの「青い鳥」、後半はアーウィン・ショーの短編「夏服を着た女たち」でした。いつも午前午後で関連のあることが多いのですが、違いが際立ちました。

「青い鳥」は、ベルギー生まれのメーテルリンクによって1908年に書かれた戯曲です。舞台美術や衣装等についても詳細に書かれています。このまま演じられたとしたら、かなりスペクタクルで絢爛豪華だったでしょうね。時代も同じころですし、イギリスの「ピーター・パン(1904年)」のように、クリスマスに演じられた贅沢な舞台だったのではないかと想像しました。

予想以上に長い物語です。チルチルとミチルは、もともと家に青い鳥がいるのを見つけるまで、色々な国を長い時間(本人たとの意識では一年)旅をするのです。

私は堀口大学訳で今回初めて読んだのですが、なぜかいくつかの場面の映像を知っており、よくよく考えたらテレビで放映していた演劇を子どもの頃に見ていたのでした。テレビでもあまりに長く、ついつい引き込まれて最後まで見終えて激しく疲労した、その疲労を覚えています。

ついでに蘇ってきたのが、火に関するものにチルチルミチルという商品名がいくつかあったような…。そうそう、有名なのは100円ライターですね。火や光に関するものが「青い鳥」と無意識につながっている? 確かに、チルチルもミチルと旅するのは、生き物である犬や猫の他、光、火、水、パン、砂糖など。

物語が丁寧にものの道理を説いているのを感じましたが、それすら不思議に潜在意識すでにに入り込んでいるような。

かつて、物語が道徳を教えるものだったということなのでしょうか。

 

午後の読書会はアーウィンショーの「サマードレスの女たち」、「夏服を着た女たち」というタイトルのほうが知られているでしょうか。1939年(作家が25歳)に雑誌「ニューヨーカー」に掲載された、都会的なニューヨークを舞台にしたおしゃれなカップルのごくごく短い小説。というか、休日のプライベートな午後の一瞬をさっくり切り取ったような作品です。

男性と女性の考え方の違いが浮き彫りになるところが、問題と言えば問題です。この日、読書会の参加者に男性がいたことがラッキーでした。

「サマードレス~」一遍だけ読むと、男性視点で明るく健やかな雰囲気ですが、1939年は第二次大戦が始まった年ですから、その時代背景を考えると色々と見えてくることもあるはずです。他の短編も読んでみたほうがいいかもしれませんね。