物語とワークショップ

ピッピのくつした/まちだ演劇プロジェクト

ミス・ペレグリンと奇妙なこどもたち

50を過ぎて様々な体の不調を感じることが多いのですが、少しは良いこともあって、映画が夫婦で安く観られるのですよね。よく利用させてもらっています。日曜には「チャーリーとチョコレート工場」や「アリス・イン・ワンダーランド」のティム・バートン監督の新作を観に。

ミス・ペレグリンと奇妙なこどもたち」という映画です。夫に誘われるエンターテイメントはなぜか外れることが多いので警戒していたのですが、最初からぐいぐい引き込まれてしまいました。物語のツボを押さえているんでしょうかね。まさにエンターテイメント、すごく楽しかった。

主人公は、おじいちゃんに可愛がられたせいか、あまり現代的なスピードに馴染めないどん臭いジェイク(…と言っても、イケメンでとても可愛いんですけどね)。両親とも波長が合いません。でも、孤児院で育った独特な雰囲気を持つおじいちゃんに仕込まれ、内面はきちんと成長しているらしい。

このおじいちゃん、計算するとかなり高齢と思われます。第二次大戦中、児童施設から戦争に行っています。古いモノクロ写真も持っているのですが、その孤児院時代のおどろおどろしい昔話を語るのは、認知症のせいだと思われています。

しかし、1943年にドイツ軍に爆撃されてしまったその孤児院は実在していました。おじいちゃんの話では、それぞれの異能を持つ個性豊かな子どもたちが暮らしていた、と。体が空気のように軽い女の子、予知夢を見る子、透明人間の子、ハチを体の中で飼う子、常に仮面をかぶっている双子、幼き日の食わず女房、植物をあっという間に成長させる力を持つ子…等々。

なんだか、昔話でおなじみのような異能ですよね。それも日本の昔話にも出てくる郷愁をかきたてられるような子どもたちなのです。いや、この映画自体が、その古いお話に入っていく懐かしい感じを思い出させてくれるみたいでした。

原作はランサム・リグズのベストセラー「ハヤブサが守る家」です。読んでみようかなと思っています。

先日の読書会は絵本「島ひきおに」と「静かな生活」のことも思い出しました。一緒に遊びたいだけなのに村人に怖がられ、海の中を自分の島をききずっていく鬼。それから、妹マーちゃんの結婚の障害になる、知的障害で作曲家のイーヨー。どちらも異能を持つ人とどうつき合っていくかという物語だったと気づかされました。

異能を敵に回す方向に進むと世界は少しずつしぼんでいくような気がします。仲間として助け合っていければ、窮地も救ってもらえるかもしれないのに。

考えてみたら、図書館まつりの読書会やワークショップもこのテーマですね。3月25日、26日になります。また詳しくお知らせしますね。