物語とワークショップ

ピッピのくつした/まちだ演劇プロジェクト

高校演劇多摩南地区 春のフェスティバル 「燈」「あけぼの」

昨日の午後はピッピのメンバーで図書館まつりのイベントに。伝承の語りということで、山形から来られた渡部豊子さんの昔話を聞きに行きました。正確には、子ども時代の話にいくつもの昔話をつないで血を通わせていた印象。

繰り返されるオノマトペの面白さや、怖さを盛り上げる独特の掛け合いのリズム、さりげなく道徳観が息づいている安心感。と言うより何より、ただただ「懐かしい」ということに尽きました。日本人の体に染みついているのでしょうね。

私が子どもの頃、寝物語として毎晩語ってくれたのは父ですが、たぶんそれだけでなく色々なところで色々な人たちが昔はよく語っていたのではないですかね。渡部さんもそうだったと言ってましたが、私も幼いころには大人たちの話をいつも耳を澄ませて聞いていましたっけ(…実は、今も)。

夕方はメンバーで〈高校演劇多摩南地区 春のフェスティバル2017〉に行ってきました。淵野辺駅前の桜美林大学プルヌスホールです。

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お客さんが多いことに驚きました。座席も通路もいっぱいです。私たちは後から出してもらった最善列に置かれた長椅子に座りました。こんなに前で大丈夫かな、と不安になるのは年とったせいでしょうか。若い頃は演劇には無理しても最前列に潜り込んで観たものですが…。

ちょうど始まったのは、日野台高校「燈」。お酒を飲んだり食べたりするシーンは細部にまで気を遣われていてリアル(ということは生きることに意欲的だと感じられる)である一方、物語の未来は不可解な「死」に絡みつかれていきます。その対比をどう理解すればいいのでしょうか。現代を描いた前衛的な作品とも感じられて冷や汗が出ました。印象的な作品でした。

そして、流動的読書会に来てくれた1年生3人が出演する町田高校の「あけぼの」。読書会常連さんが脚本を書いており脚本の初稿を読ませてもらっていたので、それがこんなに若者のエネルギー溢れる大作になったのか…と愕然としました。

読書会では色々な側面から、複数の登場人物の立場から読みますので、少しは参考になったかなぁ…と。でも、当たり前ですが、読書会に来ているときとは別人のように、生き生きとその役を演じきっていました。

 演劇は脚本と役者の演技だけでなく、美術や音楽や道具を使いますが、そのあたりを目いっぱい貪欲に使って演出しているところ、セリフにも「若い奴は元気いっぱいだ」とありましたが、これこそ若者のエネルギーだなと実感しました。

演出だけでなく実際に、作家志望、画家志望、ミュージシャン志望だったおじさん、数学者、演劇部高校生など色々な方向で表現を目指す人が出てくるのですよね。パパと娘のやりとりもとても良い雰囲気でした。年配のパパの演技のうまさには驚きました。前の劇で熱血少年をやっていた人だと思いますが。

舞台は銭湯の談話室(?)ですが、私たちの世代になじみのドリフの例の曲をみんなで歌ったり、君のひとみは10000ボルトや神田川の生演奏もありました。背景の富士山の絵もひねった工夫の演出で使われていて、本当に贅沢な芝居でした。