物語とワークショップ

ピッピのくつした/まちだ演劇プロジェクト

芥川龍之介「歯車」

最近の中学高校は8月のうちに新学期になってしまうようなのですでに夏休みは終わりという空気が漂っているのかもしれませんが、古い人間(なのか?)としてはなんとなく今日31日が区切りという気持ちを強く持ってしまいます。

というわけで今月の読書会の報告を書き終えておかないと…

今月メインの読書会は芥川龍之介の「歯車」でした。最晩年の有名な作品ですのでご存知の方が多いものの、改めて読んで精神を病んでいる危うさとそれを冷徹に書き記そうとする作家魂に心打たれました。作家は命がけですね、特にこの時代の作家は。

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そんなことを思いながら始まった読書会。

作家の自己評価ほど悪い人とは思えず、読み解くほど真面目な人柄を現代の空気に置き換えてひしひしと感じました。やはり遺書の色合いの濃い作品なのだなぁと実感。この後、35歳という若さで命を絶たれてしまったことを思うと心が痛みます。

ここのところ読んでいた多の近代文学作品との比較、特に志賀直哉「暗夜行路」が作中に出てきて主人公が打ちのめされるところ、両者の違いを考えてしまいます。

白樺派の人たちの自己肯定感というのは、この時代で突出していたのでしょうね。日本人に強い同調圧力もなんのその、正しく自尊心を持ち、自我を確立していたのだろうと想像します。そう考えると、親和力に支配されて自分のことよりつい家族のことを優先してしまう芥川は庶民だったのでしょうか。

 自分たちはどちらに近いのか、と考えさせられました。