物語とワークショップ

ピッピのくつした/まちだ演劇プロジェクト

4月の“ささやかだけれど役にたつ読書会”

  J・M・クッツェーの『恥辱』の読書会をしました。3月の国際文芸フェスティバルで、ノーベル文学賞作家のクッツェー氏の朗読を聞いて感銘を受けた(英語は苦手ですが、やはり伝わってくるものがありました)こともあってかなり読み込んでいたのですが、あらためてみんなで読むことでやはりもう一歩理解が深まった感がありました。自分の視点からは死角になっているところを教えてもらえたり、逆にみんなで説明することで自分にわかっていることがより理論的に理解できたり。それによって、物語が立体的に見えてくる。読書会の面白さってそういうところです。

 それが何になるのか?とよく言われますが、物語を読み解くことって、自分の物語を作っていくための材料や活力を得ることのような気がしますよ。すぐ使えばいいのではないですかね。間違っても、マニアックに読解してノートにコレクションなどしないことです。

 物語って、ものごとをバラバラに認識するのではなくて、ひとかたまりとして認識することで、時間の流れやその中での変化を感じることができるのが面白いのだと思うのですが、『恥辱』はそのへんがかっちりと詰まっていて、絶妙なバランスで安定してとどまっています。色々な読みを可能にしているのだと思います。

 物語と演劇ワークショップについて、これから少しずつ書いていきたいと思いますので、よろしくお願いします。