物語とワークショップ

ピッピのくつした/まちだ演劇プロジェクト

『ペスト』読書会

7月31日の例会。東京の感染者が恐ろしい人数になっていたので心配でしたが、サーキュレーターを使ってめいっぱい換気に努めつつ、午前中のお茶会(各自持参のもので水分補給のみですが…)、午後はカミュ『ペスト』読書会も行いました。
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午前も、午後も、しばらく会えなかった方々とお話しできてとても嬉しかったです。コロナ禍という特異な状況、周囲の人たちと体験を共有することでなんとか現実のことと認識できるのかなとも思いました。

お茶会はもちろんのこと、読書会でも、参加者それぞれが語る本の解釈の根拠に、その人の実体験があるのがわかりました。
本当に、今『ペスト』を読む贅沢さ。今こそ読んで学べる小説なのだと実感しました。

主人公である医師リウー、親友のタルー。その他にも大勢の人物がそれぞれに動いていきます。

私が読んでいて一番勇気づけられたのが、老いても純情な下級官吏のグラン。
『外套』のアカーキエフを思い出さないこともないこの人物ですが、役所の仕事の他に情熱を燃やすライフワークを持っています。それが、どれだけ生きる希望に繋がるか。町の構造とも相まって、人間の生き方を考えさせられました。

また、印象的だったのはパヌルー神父。神はいるかいないかの2つしか選択肢を持たないことの苦しさ。罪のない少年の死にひどく傷ついており、また彼が感じていることはもっと複雑なのに、それ故なす術がない。亡くなったとき、彼のカードに「疑わしき症例」と書かれてしまうところもなんとも痛々しく、忘れられない人物です。