物語とワークショップ

ピッピのくつした/まちだ演劇プロジェクト

『82年生まれ、キム・ジヨン』読書会

今年最後の読書会の報告をしておきます。

課題本は『82年生まれ、キム・ジヨン』でした。これ、一時期、ものすごく話題になった本です。

作家のチョ・ナムジュさんは社会学系の方なので、今まで読書会で多くとりあげてきた純粋文学系とは、だいぶ違うという印象を参加者の皆さんは持たれたようでした。

社会学的な世界のとらえ方は、おそらく平均値から推測する平均的世界なのでしょう。
文学では、誰とも違う、その人の独自性から世界を眺めるとどうなるかをぐいぐい表現します。糸がピンと引いている感じですね。そういうのに慣れていると、平均的世界は少しぼんやりしています。

キム・ジヨンが体験する女性差別的待遇は、日本でもおなじみ、よくあることです。参加者の女性はほぼ全員身に覚えのあることばかりでした。
しかし、よくよく思い出してみると、その内容は人によってだいぶ違うのです。差別ではない体験すらありました。
だから、キム・ジヨンという女性が、わかるようでわからないのです。

ただし、そのわからない理由はラストできっちり明かされ、そういう意味でとても良くできた小説です。それで、自分のことを考えるきっかけになれば良いのでしょうね。