物語とワークショップ

ピッピのくつした/まちだ演劇プロジェクト

ジェフェリー・ユージェニデス ネイサン・イングランダー トニ・モリスン

プライベートな事情があってどうなるかわかりませんが、第2回目の東京国際文芸フェスティバル(2014年2月28~3月9日)のいくつかのイベントに参加する予定でいます。関連する作家の小説など読んでみました。

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長いものでは700ページを越えるジェフェリー・ユージェニデス『ミドルセックス』です。

両性具有の主人公が出てきてびっくりするような描写もありますが、世界の歴史とギリシア系の一族の歴史を絡めた真面目な物語でもあります。

そこを丹念に描こうとする情熱に心打たれます。緊張感が延々続いて休憩するところがないんです。

そういう地道に続ける努力というところって私にも欠けているし、日本人一般に欠けているのかなと思いますね。周囲の空気を読みすぎるあまり、周囲に流布している言葉に気持ちが流されてどんどん移ろっていっちゃうんですね。しっかり考えて変更するのではなく、気持ちだけがすべっていく。

踏みとどまらなければいけません。

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それから、ユダヤ系のネイサン・イングランダー『アンネ・フランクについて語るときに僕たちの語ること』という短編集を読みました。表題作はレイモンド・カーヴァーの『愛について語るときに我々の語ること』へのオマージュなんでしょうか。

…この物語、とても怖かった。

イスラエルに暮らす夫婦が元同級生のアメリカ人夫婦のところに遊びに来て、やりとりをするんです。最初はなかなか噛み合わない会話がだんだん弾んで、少々ハメをはずして、ちょっとブラックなジョークなども飛び交う関係になって、それで、アンネ・フランクゲームを始めることになるんです。

話題になっていた映画『ハンナ・アーレント』の言わんとするところの凡庸な悪の存在を描いてしまっているのではないかな。アイヒマンの行動の、どこが悪なのかという。

「凡庸な悪は、根源的な悪とは違うの。あの悪は極端だけれど、根源的ではない。深く、かつ根源的なのは善だけ」

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文芸フェスと関係ありませんが、トニ・モリスン『ホーム』も読みました。物語を読んでアフリカ系アメリカ人の置かれた状況を体感するとショックを受けますが、でも、流されないで本当のことを見ようとする姿勢に、やはり励まされます。