物語とワークショップ

ピッピのくつした/まちだ演劇プロジェクト

キノの旅「大人の国」読書会

キノの旅』シリーズの1巻より「大人の国」の読書会を開催しました。キノが両親と故郷を捨てて旅に出るきっかけとなった過去を語る寓話的な短編です。

この〈大人の国〉では医学が発達しており、独自の規則があります。国の中心にある大きな病院で、12歳の誕生日をむかえた子どもは必ず開頭手術を受けなければならないのです。

その手術によって、不要な疑問など持たず、嫌な仕事でも何でも笑顔でできる大人になるというわけです。

この国の人々はそうやって苦労せずとも手術で大人になって、楽に生きられるということなのでしょう。子どもの反抗期に苦労することもありません。


ただ、それは本当に楽で幸せなことなのか?


それとも、まっとうな大人になるために、やはりキノのように逃走をするべきなのか?


かっちりと隙なく構築された物語世界に支えられ、今回の読書会では、参加者それぞれが親として、子としての自分の体験を踏まえてラフに話し合うことができました。

 

個人的なことを言えば、キノの旅立ちのシーンにはどこか既視感があり、昔、自分も似たような体験をしたような気がしました。

もしかすると、大人になるということは、ある意味、キノの物語のようにすべてを捨てて旅立つことなのかもしれません。