物語とワークショップ

ピッピのくつした/まちだ演劇プロジェクト

彼女は頭が悪いから

先日、姫野カオルコさんの小説「彼女は頭が悪いから」を読みました。
どこかでこの本を紹介する文章を読んだのと、嗅覚的に今読むべき本だというのが伝わってきたから。
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この本が話題になっていた時期……小説の題材となった2016年の東大誕生日研究会レイプ事件(実はレイプではないけど)にゾッとしたし、その反響にも関わりたくなく避けていました。

…ということは、やはり内容を予測していたのでしょうね。

そうですね。
読めば、思った通りでした。

このまま行くと結末はどうなるんだろうと気持ちが暗くなりましたが、ラストの思ったより明るめの空気感に救われました。
問題を明確にすることは、やはり解決ヘ向けての大きな一歩ですね。

最初にも言いましたが、小説というのは不思議なもので、その時々の自身の問題や悩みを解決するヒントが隠されています。
丹念に読めば、実際に困っている事柄を分析する手がかりがいくつも発見できます。

この小説が扱っているのは、簡単に言うとパワーハラスメントだと思うのですよね。人間関係における不条理な格差による実害。

私事で考えれば、職場の問題や過去の友人とのトラブルに関連しているように思われました。
そして何より、重ねてヒリヒリと痛みを覚えるのは、現在進行形の弟とのコミュニケーション不全です。

子ども時代はいつも世話して連れ歩いていた年の離れた弟が、現在、常に悪意をもって、上から目線で接してくる気持ちがわかりません。
いや、原因はあるし理解できなくもないのですが、そこをきれいに封じて見ないで平気なことが不可解です。

かつて、女には学歴は不要としつこく唱え続けた両親も、男の子の教育にはひどく熱心でした。
非常な努力をして弟は偏差値の高い大学を出ています。
それによって切り捨てたことは諸々あったでしょうが、その行為はそこまで人格を変えてしまうのでしょうか?

それで、幸せなのでしょうか?
考えるためにも、読書会で取り上げてみたい1冊です。